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介護移乗について全介助のテクニックを紹介

介護移乗について全介助のテクニックを紹介

介護移乗とは?

「介護移乗」って何?そう思っている人も多いかもしれません。
私たちが生活を送る中で、欠かせない動作というものがあります。
元気なうちはあまり考えたことはありませんが、介護職員の間では「食事」「排泄」「更衣」「移乗」「移動」「入浴」「起居動作」と、動作を細かく分けて、その中で介助を行っています。介護移乗とは、その動作の一つに入ります。

ですから、介護移乗とは、文字通り移すための介護ということになります。よく使われるのが、ベッドから車いすへ移る動作(その逆もあり)です。
高齢になると、自分で体を動かすことが困難になることは多々あります。脳梗塞などの病気が原因で、体にまひが残ることもあれば、体力が低下してしまうこともあるでしょう。

原因は人それぞれですが、自分で体を動かせない場合には、全介助での介護移乗が必要になるわけです。

介護移乗の方法

そこで大切なのが介護移乗の方法です。ここでは主に、車いすへの介護移乗についてお話していきましょう。
簡単に介護移乗の方法をまとめると、

  1. 車いすのチェック(壊れているところがないか)をする
  2. ベッドに横になっている人の体を起こす
  3. 車いすへ移ってもらう
  4. 車いすでの姿勢を整える

といったところでしょうか。
一言でいってしまえば、「体を抱きかかえて車いすに移すことを、全介助で行う」です。
これも実はもっと細分化できるのですが、後で詳しくお話ししますね。

 

全介助で移乗を行う場合のテクニック

それでは、全介助での介護移乗について、さきほどの①~④とあわせてお話していきますね。
ちょっとした介護移乗のテクニックも紹介しますので、読んでいただけると嬉しいです。

 

①車いすのチェックをしましょう

車いすのチェック?と思うかもしれませんが、車いすへの介護移乗なのに、その車いすに異常があったら困りますよね。
ブレーキがしっかりかかっているか、座面などにがたつきがないか、安全に使えることを確認しましょう。
特にブレーキのかけ忘れや、ブレーキの利きが悪いものを使うと、全介助で移乗をしようとしたときに、けがをしてしまうこともあります。

 

②ベッドで寝ている人を起こします

介護移乗に限ったことではありませんが、介護をする際に、その相手に「これからお手伝いをしますよ」と、お伝えしなくてはいけません。相手に動くことを伝えると、体が動かなくても「動く」「介助される」という意識が働きます。

そして、体を起こす準備ができるわけです。

この体を起こす際は、介助者が自分の力だけで無理に起こすのは危険です。
最初に体を起こすことを伝えて、起き上がる側に横向きにします。
例えば、右を向いてもらって起きる場合には、介助者の左腕を起き上がる人の右わきに入れて、てこの原理を使って弧を描くように起きてもらいます。
両足が下りて、体が完全に起きたら、次は車いすに移る動作になります。
車いすをベッドサイドに準備しましょう。
もちろん、フットレストを上げる・ブレーキをかける・設置する角度なども準備の一つですよ。

 

③車いすに移る際に、介助を受ける人の足が、しっかりと床についているかどうか確認します

全介助だから、足がついていなくてもいいのでは?という人もいますが、両足がつくと、そこに体重が少しでも分散されますし、なによりも「これから立ちます」ということが相手に伝わります。
介助者は自分の両腕を相手の脇の下から背中に回し、両足は開きます。
このときに、相手の両腕も、できれば自分の肩に回していただきます。

 

④介助者は腰を落として、自分のほうへ相手を前傾姿勢にします

相手を前傾姿勢にすることで、相手のお尻の部分が少し上がるのです。
そのまま介助者は、一緒に立ち上がります。
この「一緒に立ち上がる」ことが、介護移乗のテクニックとも言えます。
介護移乗で大切なのは「立たせよう」としないことです。自分の力だけで立たせるのは、かなり無理がありますし、相手の両腕を持ち上げようとして、するっとぬけてしまうと怪我の原因にもなります。

また、介助を受ける人も、立たせられるという感覚なので、協力できません。
一緒に立ち上がることで、介助者も余計な力を使うことがありません。そのまま慌てず静かに、車いすに座ってもらいます。

 

⑤車いすに座ったら、姿勢を整えます

車いすの座面に、深く座っていなければ、介助者は車いすの後ろに回って、相手の両脇下から腕を入れ、やや前傾姿勢をとってもらいながら手前に引き寄せます。両足をフットレストに乗せることも大切です。
足が浮いているような気がすると言われる場合には、両足がきちんと床につくかどうか確認の上、足を下ろします。

 

移乗で足を股の間に入れないのは正しい?

最近よく耳にするのが「介護移乗で足を股の間に入れない」ということ。
確かに、20数年前は、介護移乗の際に「介助を受ける人の足を広げて、自分の足を差し入れて介助する」という方法が主流でした。
それは、自分の足が介助を受ける人の股の間に入ることで、自分の姿勢が安定し、相手にも怪我をさせないからとの理由です。
ただ、最近ではこの「相手の股に足を入れる」ということ自体が、相手に対して失礼だと言われています。
介助する人が、自分の姿勢が安定して、やりやすい介護移乗ではあるのですが、介助を受ける側にしてみれば、それはどうなの?ということなのでしょうね。

どちらの方法が正しい、間違っているということはなく「介助を受ける人の状態に合わせる」というのがベストでしょう。

足が安定せず、膝が内側に折れやすい人であれば、足を間に入れて動かないように支えますし、足が安定していれば、自分の足は入れずに全介助で介護移乗を行いましょう。

 

まとめ

介護移乗に限ったことではありませんが、どんなときでも介助中は、介助を受ける人から手を放さないことが重要。
ベッドから体を起こすとき、うまく姿勢を保つことができる人であっても、介助者のどちらかの手は、介助を受ける人の肩や背中などに触れているのがテクニック。
手を触れていることで、ちょっとした相手の体のブレがわかります。アクシデントが起こった時にすぐに反応できますよ。

介護移乗も含めて、介護には正解がありません。足を入れる・入れないということもそうですが、介助方法はその相手にあったものを用いることです。

さらに、介護移乗やそのほかの介護も、自分と相手に優しい方法を探すことも大切です。一つの方法が「これでいい」と思わず、もっと他にもあるかも?という探求心を持って介助をしたいですね。

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