寝たきりの人を安全に介助!ベッドから車椅子への移乗手順と注意点を解説
加齢や病気、ケガなどから、寝たきり生活になると、移動する際は車椅子を使用するケースが一般的です。
ベッドから車椅子に乗る際は介助が必要となり、介助する側・される側、どちらにも負担が生じます。ベッドから車椅子へ移乗する際は双方の負担が少なくなるよう、注意しましょう。
本記事では寝たきりの人をベッドから車椅子へ移乗させる際の手順や注意点を解説します。
目次
移乗介助とは?
移乗とはベッドから車椅子、車椅子から便座などへ、乗り移る際の動作です。自力での移乗が難しい人は、介助者の助けも必要でしょう。
医療や介護の仕事をしている人、自宅で家族を介護している人などは、日常的に移乗介助することがあります。
日常的な行動の一つですが、移乗介助する際は本人にも介助者にも負担がかかるため、注意が必要です。とくに自分で体を動かせない・支えられない寝たきり状態の人を無理に移乗させると、ケガをさせる恐れもあります。
移乗介助は双方の負担が少なく済むよう、安全確認や正しい手順を踏むことが大切です。
寝たきりの人をベッドから車椅子へ移乗させる手順
寝たきりの人を、ベッドから車椅子へ移乗させる際の手順を解説します。移乗介助は体を密着させて安定して支えられる体勢を取り、ゆっくりと自然な動きで行ないましょう。
移乗する旨を伝える
寝たきり状態の人でも、突然体に触れて動かすと不安や不信感を与えます。ベッドから車椅子へ移乗する際は、これから移乗する旨を最初に伝えましょう。
以降の動作でも都度、これからどんな体勢を取るのか、何をするのかを伝えながら移乗してもらいます。
車椅子を準備する
スムーズに負担なく移乗するため、車椅子の状態を整えます。
車椅子はベッドの近く、かつ介助対象者の足が当たらない位置に置き、ブレーキがしっかりかかっているか確認しましょう。
フットサポートを上げて、レッグサポートは外し、乗りやすい状態にしておきます。アームサポートやサイドガードははね上げておきましょう。
上体を起こしてベッド脇に座らせる
介助対象者に仰向けになってもらい、両腕は胸のあたりで組むようにして、足は膝を曲げてもらいます。そして、車椅子を準備している方向へ横向いてもらい、上体を支えて起き上がらせ、ベッド脇に腰掛けてもらいましょう。
ベッド脇に腰掛けたら、移乗しやすいように浅く座り直してもらいます。太ももの真ん中あたりがベッド端に来るのが、浅座りの目安です。
浅く座ってもらうときは肩甲骨を支えて体を密着させ、支えている方に重心を移動し、反対側の臀部を浮かせて前に出すようにします。
また、靴を履く必要がある場合は、この時に履かせます。
足は肩幅か骨盤の幅くらいに開いてもらってベッド側に引き、足底が付いているかを確認します。
ベッドの高さを調節する
高さ調整ができるベッドなら、車椅子へ移る前に調節して、立ち上がる際の負担を軽減しましょう。
腰掛けているベッドが低いと座りの姿勢が安定しすぎてしまい、立ち上がらせるときに大きな力が必要です。膝よりも臀部が高い状態なら、前傾姿勢を取りやすく、立ち上がらせる際の負担を軽くできます。
体を支えて車椅子に移す
車椅子に近い側の足を軸足にし、その延長上に介助対象者の足が来る体勢を取ります。
介助対象者の車椅子側の肩甲骨と反対側の骨盤を支え、体を密着させて介助対象者の臀部を浮かせて前傾姿勢にします。そのまま上体を支え、一緒に体を回転させて車椅子の方向を向き、体を密着させたままゆっくり座らせましょう。
このとき、顔がぶつからないよう注意し、移動先の車椅子が見える状態にすると、介助対象者は安心できます。
座り方や姿勢を確認する
車椅子に移乗したら、座り方や姿勢を確認します。
顔がまっすぐ前を向いているか、体が傾いていないか、深く座れているかをチェックしましょう。
寝たきりの人をベッドから車椅子へ移乗させるときの注意点
寝たきりの人をベッドから車椅子へ移乗させるときは、手順に従うだけでなく、これから紹介する注意点も意識しましょう。
動作ごとに声をかける
負担なく安全な移乗介助をするため、動作ごとに声かけを行ないましょう。
最初に移乗する旨を伝え、動作ごとにどこに触れるか、何をするか声をかけて、了承を得ながら介助します。
介助対象者にも動ける範囲で動いてもらう
寝たきり状態になっていても自分で動かせる部分があるなら、できる限り自力で動いてもらいましょう。
寝たきりだからとすべての動作を介助すると、動かせる部分の機能を失わせる原因にもなります。
車椅子の準備・整備を十分に
移乗してもらう車椅子の状態を事前に整えておくことも大切です。
例えば車椅子の位置が遠いと、立ち上がらせてから移動する距離ができてしまいます。介助者の負担が増えるだけでなく、移動中にバランスを崩して転倒するなど、安全面でも問題です。
また、車椅子のブレーキがかかっていないと、意図せず動いてしまう恐れもあります。事故に繋がるので、車椅子のブレーキはしっかり確認しましょう。
服をつかまず、大きい骨のある部分を支えて体を密着させる
服をつかんで体を支えると、姿勢が安定しません。余計な力がかかったり、介助中の転倒に繋がったりして危険です。
体を起こしたり動かしたりするときは、大きい骨のある部分を支えるようにし、体を密着させると安定します。
無理な力を加えない
上体を起こすときや座り方を直すときは、介助対象者の体を支えながら、ゆっくりと自然な動きで動かしましょう。
腕や肩をつかんで力任せに引っ張ると、脱臼や皮下出血を起こす原因です。介助する人自身も、肩や腰に負担がかかり、痛める可能性があります。
まとめ
寝たきりの人に、ベッドから車椅子へ移乗してもらう際、まずは移乗の旨を伝えて車椅子を準備しましょう。そして上体を起こしてベッド脇に浅く座らせ、体を支えて車椅子へ移乗します。
移乗の際は動作ごとに声かけをし、介助対象者にも動ける範囲は自力で動いてもらいましょう。
また、安全のため、車椅子の位置やブレーキがかかっているかを確認します。大きな骨のある部分を支えて体を密着させると安定し、安全な移乗介助ができます。
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